深淵
大いなる深淵が魂を呑み込む
足らぬ足らぬ、まだ足らぬ
深淵はここにそこに
海の中に山の中に
よく知る道にも家の中にも
まるで見境なく深淵が口を開ける
多すぎる魂は深淵が呑み込む
たくさんの虐殺を深淵は引き起こす
まるで蟻地獄のように
魂は引き寄せられ呑まれていく
人の数ほど深淵が
ぱっくりぱっくり開いていく
足らぬ足らぬ、まだ足らぬと
子供も大人も呑んでいく
深淵がなければ
みな突然に亡くなることはないのに
この世のバランスのため
深淵は口をひらく
魂を食べる
足らぬ足らぬ、まだ足らぬと……
PS
さすがに20代ということはなかったですが、世間一般的に若いといわれる年代の方々が、続けざまに亡くなったことがありました
身近に思っていた人が多く、年代も10代ごとにバラバラで、そのときにようやく、命に順番も優劣もないことに気づけた気がしました
喉元にまで、ナイフが突きつけられたかのような、ヒヤリとする感覚
お前はどう生きたいのだ?と、強く問い詰められたかのような
忘れてはいけない感覚と思っていたのに、つい最近まで忘れていました
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。