自作自由詩 SeKKa-PoeTry

自作の自由詩かいてます

不確か

不確かだけど確かな存在を確かめる

小さくどこかに亀裂が入れば

私もあなたもどこか遠く

手の届かないところへ行ってしまう


ほんの一瞬ほんの偶然

惹かれ合っただけだけれど

確かな存在としてここにいる


不確かだけど確かな存在を確かめる

吐息を聴く、手を伸ばす

匂いを体温を感じる

お互いの存在は確かだけれど不確かだ


どうしてそばにいてくれるのだろう?

この優しさは何のため?

その微笑みは誰のため?


不確かだけど確かな存在へ

この脆い関係をどうかできるだけ長く

命のある限り続けてみたいと思いませんか?

強制ではなく、その心のある限り

大丈夫

大丈夫大丈夫

その人の口癖は大丈夫で

どんなに無茶に思えるプロジェクトも

上司の急な方針転換も

どんな無理難題も

大丈夫大丈夫

そう言い聞かせて切り抜けてきた


もちろん成功もあれば

失敗だってあった

そしてどんなときも

大丈夫大丈夫

その言葉が隣にあった

彼はどんな気持ちでいたのだろう?

大丈夫大丈夫

震えながら呟いたこともあっただろう


大丈夫大丈夫

その口癖は最期まで口癖で

大丈夫大丈夫と言いながら

彼は亡くなっていった

大丈夫大丈夫の言葉は

どんどん大丈夫じゃない意味になっていった

ボロボロになった身体を抱え

最期まで誰かを思い自分を思い

大丈夫大丈夫と呟いていた


怖かったんだろう

何にたいして?

弱かったんだろう

誰にたいして?

大丈夫大丈夫

彼はその言葉とともに荼毘に付された

残ったわずかな骨は

彼の身体が全く大丈夫じゃなかったと告げる

そして残った私たちは

大丈夫大丈夫と

自分たちのためだけにその言葉を使った

だから結局全て大丈夫なんだと

心に鳴るどうして? は全て聞かずに……



PS

大丈夫がゲシュタルト崩壊しそうになる

都会

あの頃一番都会だった町は

歳とともに段々都会ではなくなって

そのうちいわゆる田舎を離れて

私はいわゆる上京をした


誰もが認める都会で

時折誰かが、寂しくはないかと尋ねる

寂しいとはどういう感情なのだろう?

どこにあっても私は私なのに……


イントネーションの違いが

如実によそものだとわからせる

どうしてここへ来たの?

そしてお決まりのその言葉


幼い頃に憧れた魔女のように

自分の住みたい街を探して来たのだと

そんなことを言えばどうなるのだろう?

都会に住んでみたくてと答えながら考える


人も街も空気もお気に入りのチェーン店も

ほとんど変わらずここにあって

毎日は変わらないように過ぎていく

画一化された町並みに郷愁など起こらない


煩わしいニュースはシャットアウトして

都会の気楽さに染まりましょう

誰にも関心の薄い世界のほうが

きっとどこより暮らしやすい