自作自由詩 SeKKa-PoeTry

自作の自由詩かいてます

ありのまま

ありのままの日常を

ありのままに綴ろう

日がのぼるとか

日がしずむとか

そんなこと


今日の朝ごはんのこと

明日も続くだろう日々のこと

楽しい驚きと、憎らしくなるくらいの平凡と

何も変わらないようで

一日歳をとった自分のこと


ありのままの日常を

ありのままに綴ろう

今日も同じ時間にベルがなること

電車は変わらず動くこと

まるで見慣れた、まるで同じ顔


なのにどうしてだろう?

毎日同じと思っていたのに

今日は去年のあの子がいない

そこは住み慣れたそこではない


平凡は平凡の顔をして

ときどきのドラマを忘れさせる

今がずっと続く錯覚

気がつけば、鏡には見知らぬ自分……


ありのままの日常を

ありのままに綴ろう

毎日は変わっていくから

平凡という仮面を被って

当たり前のように

当たり前じゃない時間は過ぎるから


ありのままの日常を

ありのまま繋ぎ止められるうちに

言葉が平凡に変わる前に

何も変わらない一日だったと思う前に

平凡の仮面を被せ、忘れ去る前に

今日をありのまま綴ろう

誕生日

何でもないこの日を

何でもないように祝おう

この世界のほぼ何十億人が知らない

単なる日を特別な日に変えて祝おう


何でもないこの日を

何でもないように祝おう

日々の雑事にかまけて忘れてしまう

そんなささいな一年の節目


何でもないこの日を

何でもないように祝おう

この一刻が成長の証で

この一刻が死への道のり


何でもないこの日を

何でもないように祝おう

空気に溶けるろうそくの灯り

一体何人が今この日を祝っているのだろう?

帰郷

見慣れていたはずの景色が

聞き慣れていたはずの地名が

馴染みのないものになっていたことに驚き


懐かしいはずの景色に何の感慨も起こらず

離れてもなお故郷の住人という自負は崩れ

お前はもう違うのだと告げられたようで


家族は不思議と優しく思え

自分の物たちは思い出に変わり

居心地はよくても居場所はないような


行けないはずの過去に遭遇したような

家族や友達とのどこか現実味のない時間

実のない話ばかりつらつらと……


それでも確かにここで過ごしたときはあり

二章を演じながら一章にいるような違和感に

ここにいるべきときは終わったのだと悟り



帰省の詩が続いてしまいました……( ˊᵕˋ ;)