自作自由詩 SeKKa-PoeTry

自作の自由詩かいてます

ヒカリ

私はいつか浪間を漂う小さなヒカリで

それがいつの日にか掬いあげられて

いつの間にか世界を見ていた


初めて光を感じて、初めて光を見たとき

眩しすぎる鋭さは、目を閉じると

どこかあたたかく心地よかった


気がつくと当たり前のように

言葉を覚え、笑い、泣き

居場所はいつでも当たり前のようにあった


けれど、いつか……

当たり前の居場所を抜けだして

世界に対する小さな点に戻ってみた


そして、どこかで誰かに出会い

小さな点はいつしか交わり線となり

私にしか歩めない軌跡となっていく


小さなヒカリは灯に変わり

ときに誰かを癒やし、導き、暖め……

やがてまた浪間を漂っていく

わたしとあなた

私の世界をあなたは知らない

私が愛した細やかな思い出は

いくら語っても語り尽くせなくて

だから私の世界をあなたは知らない


私の世界をあなたは知らない

私が思わず立ち止まる美しさに

あなたは一度も立ち止まったことはない

だから私の世界をあなたは知らない


私の世界をあなたは知らない

私はあえてあなたに全てを語らない

そうしたほうが魅力的だと思うから

だから私の世界をあなたは知らない


あなたは私の話したことだけで

たぶん私のことを理解しようとしている

だけどわかりあえないと決めつけてもいる

だから私の世界をあなたは知らない

あなたとわたし

あなたの世界を私は知らない

あなたの生きてきた一秒一秒を

同じように生きてきたんじゃないから

あなたの世界を私は知らない


あなたの世界を私は知らない

あなたと同じ角度同じ位置で

世界を見たことなんてないから

あなたの世界を私は知らない


あなたの世界を私は知らない

あなたが語らなかった思い出を

見透かすことなんてできないから

あなたの世界を私は知らない


私はあなたが教えてくれたことだけで

あなたの世界を理解しようとし

何とかわかりあおうとする

けれど結局私はあなたの世界を知らない