自作自由詩 SeKKa-PoeTry

自作の自由詩かいてます

メモリ

幸せそうな君がいる

あれは一体彼氏なの?

走り出した電車から手を振って

即座に取り出すスマートフォンに

君はどんな言葉を託すのだろう?


見送りに来て一人で帰る男の子

彼の沈んだ感情を、彼の不安を少しでも

君は和らげ、笑わせる

そして……

君も笑顔で電車を降りる

片手に持ったスマートフォンに

君の幸せの全てがあるんだ


君はさっき、彼氏と別れたけれど

君を見送り手を振った優しい彼はそこにいる

君はまだ、眠りにつくまで彼のものだ

それから朝が来て……

君はまた彼のものになり

彼はまた君のものになる


スマホのメモリが愛情のメモリ

君はとんでもなく幸せに眠り

とんでもなく幸せに目覚める

君が彼を好きでいる限り

彼が君を大切にする限り……



PS

電車での一場面から想像して書いてみたものです

成長

今日もまた、私が私であることへの

ほんの少しの違和感が

またひとつ私を大人に近づけてくれている


そんなことを思いながら

毎日、合わない服をまとうように

もどかしげに身じろぎする


そして昨日の後悔を今日へと繋ぎ

今日の失敗を明日へと活かし

一歩ずつ着実に魂は昇り


今日より明日、明日より明後日

清らかに優しく強くあろうと

未だ届かない理想の自分を追って


今日もまた、私が私であることへの

ほんの少しの違和感が

またひとつ私を大人に近づけてくれている

ただひたすらに破滅へ向かう王がいた

彼は死にたいわけではない

ただひたすらに試しているのだ

民の忠誠がいかほどのものなのか


彼はひたすらに不安なのだ

生まれながらにある地位が

父の祖父の偉大さが

彼のものでない威厳が


愛を試しているのだ

愛が壊れるそのときまで

ただひたすらに愛を欲し

民がどこまで許してくれるのか


彼は死にたいわけではない

彼のために民が死んでくれることが

彼にとっての忠誠の証


彼のために民が殺めてくれることが

彼にとっての忠誠の証


それがどれほど愛しいものであっても

どれほど大切なものであっても

彼のために、彼のために……