自作自由詩 SeKKa-PoeTry

自作の自由詩かいてます

声の森(図書館)

ざわざわざわざわ、声の森

黒くうごめくたくさんの声が

あちらこちらと私を招く


ねぇ、ほら、こっちだよ

違う違う、あっちへおいき

さぁ、よく来た、いい子だね


声はよしよしと頭を撫でて

いいものをあげると笑って言った


さぁ、顔をあげて

私をよく見るんだよ

そら、これは甘い蜜だよ


まるで毒のように甘い知識が流れこむ

ぞくぞくと手足の先まで痺れが走る 


さぁさ、次はこっちだよ

そうそう、そこだよ

やぁ、こんにちは、はじめまして


知識の声の中を泳ぐ

欲しい欲しい欲しい……

もっと、もっともっと……


飲めば飲むほど渇くように

より貪欲により深く

甘い蜜を貪り喰らう


棚の隙間から本の間から

黒くうごめく声がする


ざわざわざわざわ

静かなはずの空間には

たくさんの呻きと祈りと叫びが混じる


ねぇ、ほら、こっちだよ……

呼ばれるままに

ざわざわざわざわ、声の森