記憶
うだるような暑さにうとうとうとうと
暑いけれどおひさまは心地よくて、ときおり吹く風が涼しくて、うとうと眠ってふっと目を開けた
目に飛び込む鮮やかすぎる緑色
キレイな空、赤いトマトと深い紫のナス
宝石みたいなかわいいトマトに手を伸ばす
それに気づいた大きな手がトマトをもいだ
渡されたトマトを口に入れる
食べ物だとも知らずに咀嚼し呑み込む
そしてまたうとうとうとうと
幸せな眠りに身をゆだね、大きな背中に身をゆだね、優しく一日は幕を降ろしていく
私が生まれた世界は、毎日優しく私を包んで、毎日優しく育まれ、何も知らないままに自我が芽生える
私はだから、私が覚えている一番最初の、一番美しい極彩色の世界を、できるだけ長く長く、記憶の中に留めておくことにした
PS
昨日は祖父の49日で、これは私が覚えてる一番幼い記憶です
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